昴 曽田正人

何度も読み返してしまう作品というものが誰にでもあるだろう。
この昴は私にとってのその一作品である。

はっきり言って、私はこの作品が好悪・快不快で言えば悪、不快に感じる部類に入る部類の作品だと感じている。
主人公は自己陶酔で動くカスみたいな人間性で、他者に興味がなくて、でも魅力があって人をひきつけて……なんて女いたら私は多分殴る。
でも、彼女は天才なんだそうだ。「天才を描きたい」曽田正人は彼女を気に入っているそうだ。

じゃあ私の感想は一言に尽きる。「あー、天才に生まれなくて良かった」なんだな、これが。
よく言われることだし、作中でも述べられているが、「天才は自分の意思とは関係なくなんらかの超意思によって動かされている」そうだ。
そしてそれを自覚するそうだ。確かにイチローとかそんな印象を受ける。

でもそれって楽しいのだろうか。気持ちいいらしいが、どれくらい?
それは仲間とニコニコみて笑ってる瞬間とどっちが楽しいんだろう。

ああ、そうだ。天才じゃないから自由に生きていける。
どうみてもイチローより新庄の方が人生楽しそうだ。
だから夢見るのは、そんな天才ですら強迫観念から自由になれる、そんな世界。